#45 猫とバッティングセンター
- 2023.10.05
- 2.いまいちピンと来ない
- 引っ越し, 猫, 限界集落
私は現在、集合住宅に住んでいる。
そこまで田舎では無いが、駅からは少し遠く、世帯数はかなり多いが、やや孤立した場所に位置する。
23区内でも限界集落は9~15か所ほど(どの範囲で判定するかで異なるらしい)あるらしい。
私が住んでいる集合住宅では一日中ご老人の姿を見る事が出来るが、若い外国人世帯や子育て世帯もいるようで、住んでいる人々の世代はまだらに感じる。
ただ、朝日が昇るとともに朝散歩をするご高齢者の数はハンパなく多く、日中から日没まで、おそらく年金生活のご老人があちこちに腰かけている光景はいささか異様だ。
故に過疎ってはいない、人は居る。
私は、東京で引っ越しを7回、千葉で1回しているが、ご近所さんへ引っ越しの挨拶に行ったのは、板橋区での一度だけである。(多分23区内の賃貸マンションでは挨拶しないのが常識なはずである)
私は現在の集合住宅を選んだ時に、もし挨拶をしなければ、なんか非常識なヤツとか作法がなってないとか、うとましく思われ、変な噂されてしまうんじゃないかと、少し思った(それだけ私はここを田舎だと思っている)ので、両隣と上下の四軒に引っ越しの挨拶に伺った。
別階段のお隣さんはインターホン周りに異常に注意書きが書いてあって少し怖い感じがした。2回伺ったが会えずに未だに会った事は無い。なので1度、洗濯物を取り込むタイミングが被ってしまった時には、私は時間をずらした。
真向いのお隣さんは、5回ほど日を変えてインターホンを押したが出てきて頂けず、ま、いつか会った時にすぐ渡せるように、自分の玄関に贈答品を据え置いておく事にした。
階下の方は、引っ越しの最中にお声を掛けて下さったので、すぐに挨拶をし贈答品をお渡しした、家の中を覗くつもりは無かったが、珍しい古い2槽式の洗濯機が目に入った。その後もよくお会いし、私の足音や洗濯機の音など気にならないと言ってくださったり、内緒で猫を飼っている事などを教えてくれた。
階上の方は、最初のインターホンで出て下さり、一度断られたが、私のなけなしの可愛げでゴリ押ししてむりくり贈答品を受け取ってもらった。この方もその後何度かお会いした時に、この建物のボス的存在(うるさがた)の話や、そのボスのせいでゴミ出しの場所がいびつになっている事などを教えてくれた。
その階上の方は足が悪く杖をついていて、ゴミ出しの場所は近い方が良いと言う。それすなわち、若輩者の私が1階下に住む事は、1階分を損させてる気がしてばつが悪かったが、別に婉曲表現で嫌味を言っている訳では無く思え、いつも良い感じの方なので、会えばいつも安心してお話させてもらう。
階下の方は、向かいの部屋(私の部屋からは斜め下)はその昔、火事を起こしてそれ以来、修繕をしない予定なのか、何年も募集していない空き家だと教えてくれた。家主の方は?被害者は?と聞きたくて口から出かかったが、いや、聞いたとて、と思い直し、少し話を逸らした。
階上の方は、私の真向いのお隣さんは、1年くらい前に脳梗塞かでここ(階段)で倒れてそれでという事だが、ずっとご親族か誰かが家賃を払い続けている状態だという事を教えてくれた。「えっ本当ですか?」と私は驚き、この階段で亡くなられたのか?病院で亡くなられたのか?と聞きたくて口から出かかったが、いや、聞いたとて、と思い直し「どおりで何度もご挨拶に行ってもお出にならない訳ですね、インターホンは鳴るっすけどね」と少し話を逸らした。
お二人ともおそらく7~80歳代だし、この集合住宅も相当ご高齢なので、そういう話題は尽きないし、日常的なのかもしれないが、私にとってはシリアス度の高い話題なので、どのくらい踏み込んで野次馬根性を出して聞いて良いかいつも迷う。
そして迷ったあげく、いつも私の野次馬根性的な質問は言葉にならず、口からは出ない。ここは私の日常空間であり、私はずけずけと粗雑な言動などは出来ない。
最近、ずいぶんと階下が騒がしい事があった。窓から見るとトラックが数台並んでいたので引っ越しかなと思った。その少し前に私の真向いの部屋の工事が入り、お隣さんが引っ越してきていた。多分もう2か月ほど経つがご挨拶には来てくれないようなので、真向いのお隣さん用の贈答品は玄関に据え置いたままだ。
そして引っ越しにしては騒がしい階下を再度見ると、市のでは無い透明なポリ袋に食器類などをガチャガチャ入れてトラックに放り投げる作業員が見えた。私は胸騒ぎがした。
どうやら引っ越しでは無いようだ。トラックの横にも産業廃棄物と書いてある。作業員は皆、まさに廃棄する物を扱うように粗雑に、家の中のモノ全捨てって感じでトラックに詰め込んでいた。
私はさらに身を乗り出して見てみた。
珍しい古い2槽式の洗濯機が見えた。
まじか。
私の胸はザワついた。
んー、んー、何かもどかしい。
1~2時間もどかしい時間を過ごし、私は用事もないコンビニに出掛けるというごく普通の行動で階下の様子を伺いに行った(私はめったに最寄りのコンビニには行かない)。
ただ何か聞きたくて、コンビニ帰りに「上の階の者なんですけど、どれくらい時間かかります?」とセリフを用意してなさ過ぎて、ただの騒音クレーマーみたいな言葉を吐いてしまった。
作業員は「すいません!あと2~3時間くらいですかね」と返してくれた。
私は次いで「下の方どうしちゃったんですか?出てかれるんですか?結構お話ししてくれて良くして頂いてたんですよ」と、前言のクレーマーみたいな言葉を撤回したいのと、なんか気持ちも溢れちゃって思ったよりポロポロっと言葉も溢れた。
作業員の一人が「そうなんですよー、そうですかーそれはありがとうございますー」と応えてくれた。
亡くなられたのか?と聞きたくて口から出かかったが、いや、聞いたとて、と思い直し、私は階段を上がって部屋へ帰った。
どう考えても、亡くなられたか、もう帰って来ない施設や病院へ行かれたか、なのだろう。
てか、作業員が「ありがとうございますー」と言うもんだろうか。あの人が息子さんとかご親族さんだったのかもしれない。
だとしたら不躾な質問をするところだった。危ない。いや、何が危ないんだ?
よく思い出すと ”私が聞きたくて口から出かかったが、いや、聞いたとて” と思い直した3つのケースを書いたが、話している人はみんな笑顔だった。なぜなんだろう。
ご高齢の方々は、割と自分の死をイジられて笑ったりするというのを聞いた事がある。(ま、2025大阪万博の話しましてもね、その頃に皆さん生きてらっしゃるか分かりませんけどねwみたいな)
確かに、どうしようもないことは笑っとけ笑っとけ。笑う門には福来るってね、みたいな事なのかな。
一旦は、神妙に「死期が近いかな」みたいに感慨にふけるターンがあって、でもまあ愉快にしてた方が長生きしそうだし「いつ死ぬんだろなー、そろそろかな、ウケるw」みたいなステージに行くんだろうか。
それとも一人で考えちゃうとしんみりして重くなっちゃうけど、誰かに話してると笑い話にも出来て軽く受け止められるみたいな感じなんだろうか。
私のような若輩者には全く分からない境地だ。
私は生命で笑うには、まだ早い。私は同級生が5~6人ほど事故、病気で亡くなってるが、笑い話にする事はまだ出来ない。思い出すだけで重い、重い。
私は現在、そんな、か弱く儚くも意外と元気で笑顔溢れる生命達の、集合住宅に住んでいる。
で、内緒で飼ってた猫ちゃんはどこへ行ったんだろう。
↓ ↓ ↓ こちら珍しい猫カフェも運営しているバッティングセンター ↓ ↓ ↓
いわゆるアミパ(一部紹介)
アミューズパーク福島
https://www.amipa-fukushima.com/
アミューズパーク郡山
https://www.amipa-koriyama.com/
アミューズパーク須賀川
https://www.amipa-sukagawa.com/
「アミパ・アミューズパーク」は、
「各店舗別ドメインなので営業時間などは個々で調べられたし
(KSCバッセン小山店などの別名店舗も有り)・・・範囲:主に福島、宮城に点在するが、北関東や新潟、東京都足立区にもある」
と書いて『#28 PartⅠ 全店制覇したくなるバッティングセンター~アミューズメント複合施設編~』で一応紹介したが、ホームページが各店舗別ドメインなので、特に紹介になっていない。確か東京都足立区のは閉店したはず。
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